ながれていく/松本 卓也
 
寂しくないのかと問われるたび
面倒臭くなくて良いからと
笑って答えることにしている
そんな負け犬の遠吠えが
初冬の空に虚しく響く

全精力を傾けなければ生きれないほど
人生は世知辛くもないんだけれど
他にやる事も為す事も無いのだ
その割には少し前まで耐え切れたのに
この頃は寒さを誤魔化しきれない

ささくれ立った心に降る
冷たい雨に手を差し出す
零れ落ちる滴の意味するところ
情熱などとっくに枯れ果てた
生きている屍の呟く声の無い叫び

もう少し無邪気に笑いたいのに
今はまるで逃避の象徴でしかない
気づかせるつもりなどまるで無い
諦めを映す雲が東から西へ

ただ消え去るために
ただ忘れられるために

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