午後の水平線/
銀猫
海を見ている
さくり、さくり、
音をたてる足元の砂に
こころ揺らがぬよう
爪のかたちが付くほどに
手のひらを握り
海を見ている
潮騒に混じって
耳に届く声の在りかを
手繰りながら
海を見ている
波に反射する無数の夢が
ありふれた青色で染まらぬように
祈りに似て
或いは
遠い子守唄に似て
繰り返す言葉は
ただ
水平線を目指す
いつか
海とわたしは重なって
無数の波になり
浜辺に僅かな煌めきを残す
(今日は永遠の始まり)
風が生まれる
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