亡霊の午後/ホロウ・シカエルボク
 


目標のために歩きすぎた男が疲れ果て国道の自販機にもたれる
もはやそれが何のためかも判らず、目はかすみ、喘ぐように
排気ガスと埃に汚れた空気を吸い込む
ああ、あいつの心はもうすぐ折れてしまいそうなのだ、俺は
大通りを挟んだ向かいのパスタ屋でそれを見ていた、美味くもなんとも無いナポリタンを喰いながら(だいたい海老が小さすぎるんだ)
男は苦しそうに胸を押さえていた、どこかを悪くしているのかもしれない
海老が小さすぎる、と俺は口の中でぶつぶつ言った、光景を目にしている自分を
どの位置に置いたらいいのかよく把握できなかったせいだ
飛び出していって抱えあげてやるべきなのだろうと思う、少
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