特別であり普通である私たち/岡部淳太郎
を見ることが出来ない。自分自身の狭い考えからしか世界を語ることが出来ない。加えて生存本能という生物として生まれついた時から持っている本能がある。そうした特徴が人間独自の知力と合わさった時に自らを特別な存在とするのだ。そういう意味では、あらゆる人はみな特別な存在である、少なくとも自分自身にとっては、と言うことが出来る。他の誰よりもまず自分自身が特別な存在なのだ。
だが、これだけでは「普通」の側からの反論の答にはならないだろう。「私は普通の人間である」という断言にはどこかモラルめいた響きがあり、ともすれば自らを特別な存在であると見做したがる自分自身をこういう言葉で律していこうという思いが感じ取れる
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