梯子/霜天
 
上手く選べないことは分かっているので
国道へと続く道の折れ方を
君たちに任せることにする
右へ右へ、と街は緩やかなカーブで
今も回り続けているらしい

僕を追い越していく光線は
一日を開けるたびに増えていく
確かなデータとして証明された、それ、の中
みんなは少しずつ加速していく
ドアノブに手を掛けたまま、君は
昨日の忘れ物にいつまでもごめんねを繰り返している


  少しずつずれる時間に


庭の柿の木に掛けたままの梯子を
上れば空は広くなるはずで
遠くは、手を伸ばせば届くもののはずで
それはいつまでも


  こんなものじゃ、ない


おはようの使い分けが上手くいかない朝は
いつもより、ゆっくりと過ぎてくれる
昨日打ち上げた落下傘は
秋の空には落ちてこれないらしいので
珈琲の隣で明日の準備をしてみせる
少し大げさに、誰よりも明るく


  空に漂う傘の答えは
  そのときになれば分かることばかり
  増える光線の
  その、過ぎた後で
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