七人の話/hon
幽霊列車
「ずっとむかし、ソラは青かった」
「天にはただひとつの太陽がかがやいてた」
「青いソラには白いクモがひろがっていた」
「クモは水でできていた――わたのような蒸気のかたまりが」
「自然の光において、赤い光はちらばりやすくって、青い光はまっすぐすすむのです。だから、ソラやウミはそこを通って、まっすぐぬけてきた光だけが目にとどいて、青く見えるの」
「朝と夕方には、長くのびた大気に光がちらばってソラは赤くそまったんだ。すごいな。ぜんぶのソラがそんなふうにずっと、一日じゅうとどまらずに変わっていって、ひとつとして同じソラはなく……」
「やがて夜になると、太陽がすがた
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