社/
九谷夏紀
をする
それだけでこの深いところにまで届いて宿るのだった
帰り道
背に書物をくくり付けた鹿が一匹
石段の横にいて
なんとも知的で
足を止めて眺めた
鹿はいっこうにこちらを見てはくれない
それでもしばし鹿を眺めた
未来の私に
必要なことだった
石段を下りて
門を抜ければ
空気はこんなにも生温い
もう風は心地よく響かない
吹き過ぎてゆく
身に沁みるように
七野の空気をいただいて帰ります
呼吸を整えにまた参ります
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