瀬賀/リーフレイン
これは 稀少なる学位をば修めたる優秀なる雇われ人である。名を小波と申し候。さても遠江の国、自動2輪跨車を製作する工場なるところの職をば拝命せし候。久しく留め置き候ところに、家うちへのいたはりと申して、たびたび暇を乞ひ候へども、この秋ばかりの納期とぞ請われ、未だ暇を取ることあたわず候。
「すまじきものは宮仕えなれど
背に腹代えられぬ薄き懐
夢に上りし我娘のかんばせ
ますます蒼く、涙あふるる
幾千万里をいく風のごと
頬に触れたし 頬ぬぐいたし」
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これは、播磨の国赤穂の宿の身内にて、瀬賀と申す幼女にて候。さても
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