月下/しゅう
上げた階段はいつか螺旋へと変容し、残酷な席替えや給食を繰り返し続ける、月の巡りのなかで幾度も幾度も、あと12回で新年が来ても何も変わらぬ螺旋階段を昇りつづけるくらいなら溶け落ちてその一段になりたい、窓には鉄格子があり月光は切り刻まれしたたる光が踊り場を濡らしていくが、体温には程遠い
十四歳で月光になってしまった
月に爪一枚分届かず、保健室の鍵を突きたてた
あどけない少女の吐いたぎんいろが、この町に降り積もる
雨と鎖の足跡を、誰もが知らずに踏み過ぎていく
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