ターテン/カンチェルスキス
たいに
ターテンは地面にへたり込んで
べつの教師が助けに来るまで
不自由な足を蹴られ続けた
ソウルへ向かうバスの中で
ターテンはずっと泣いていた
押し殺すような涙だった
悔しかったのか
その悔しさをどこにぶつけてよいのか
わからない様子だった
短髪の頭をずっと下にして
教師の
この国の教育は遅れてるから
気にするな
という言葉にも
何も答えなかった
ソウルのレストランで
昼ごはんを食べる頃には
ふだんの飄々とした
ターテンに戻っていた
辛さが強烈な海鮮鍋を
ばくばく食べると
すぐに唇が真
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