誰もぼくを知らないところ/soft_machine
なりたい
雨はやがて海になるから小舟をゆすり
さかなを網においこみたい
ぼくは朝になり昼になり夜になりたい
そして日々がいつか
春になって人をよわせ
夏になって人をくるわせ
秋になって人があたため
冬になって人にしずもる
けれどそんな季節も
いつかは終わるだろう
ならば ぼくは
いま の ようなものになりたい
かこ の ようなものになりたい
それは 時
みらい などではない
ひろがり のようなものに
かんじょう のようなものに
えがきつくした 絵 そのものに
そうしてぼくを棄てて
誰ものかけがえになりたい
あぁ、もうかみさまのところへ行きたい
そこで ようやくぼくは はだかのままだろう
戻る 編 削 Point(10)