ふたつまぶた/石田 圭太
 
付いてゆく私
トグロを巻いたような
坂道の先の貯水塔
には登る事が出来る
今朝の女はやっぱり知らない
記憶にない女だ
とか考えているともう着いてしまっている
距離の貯水塔
に登ると一応町が一望出来た
わあ とも
なん とも 思えぬ
景色を見てぽっちゃりがはしゃぎ
落ちやしないかと
私はそっと手を伸ばした
かん とも 思えぬ
景色を見てぽっちゃりがはしゃぎ
私はそっと手をまわした





ミシリ
と音がすると
小さな骨がいくつも外れたのが分かった
足を上げると


掌に乗せると
まるで私が生気を吸い取っているかのように
か細く
カボそク
なって逝くのがわかった


しかしそれでもこれと私は
同じ大きさであるのかも知れなかった


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