ふたつまぶた/石田 圭太
付いてゆく私
トグロを巻いたような
坂道の先の貯水塔
には登る事が出来る
今朝の女はやっぱり知らない
記憶にない女だ
とか考えているともう着いてしまっている
距離の貯水塔
に登ると一応町が一望出来た
わあ とも
なん とも 思えぬ
景色を見てぽっちゃりがはしゃぎ
落ちやしないかと
私はそっと手を伸ばした
かん とも 思えぬ
景色を見てぽっちゃりがはしゃぎ
私はそっと手をまわした
*
ミシリ
と音がすると
小さな骨がいくつも外れたのが分かった
足を上げると
掌に乗せると
まるで私が生気を吸い取っているかのように
か細く
カボそク
なって逝くのがわかった
しかしそれでもこれと私は
同じ大きさであるのかも知れなかった
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