港/AB(なかほど)
赤坂や六本木のある街だと思い込んで
温かい田舎から
運河の走る場所に出て来たのは
いつの事
だったっけ
見える景色はいつも同じ
で
ときおりジェットの音が
すぐそこ
すぐそこにいろんな街が見えるはずなのに
ここは
一体ここはどこなんだろう
僕はどこまで来たのだろうか
流通団地の倉庫の屋上から
東京湾花火が見え、
耳を澄ませば
遠くの
野球場の歓声
野外音楽場のベース
遠くの
遠くの
僕の声
遠くの
遠くの
遠くの
君の声
君の声
僕は腕を広げ
抱き締めるように
蹲り
僕の港は
ここなんだ
と言い聞かせた
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