糸を放つ/
アハウ
鮮やかに 雲が
青空から 吊り下げられて
細いナイロン糸が
結び目を のばして
雲は動く
己の腕の寂しさが続くかぎり
雲は行く
己の知らないくにざかい
雲の影が落ちる
都市の端 小さな川の流れる土地で
少年は 続けている
もっと遠く もっと速く
雲が流れるように
細いナイロン糸を 結び
風の凧
見えない風に乗せて
糸を空へ向けて 放つ
戻る
編
削
Point
(14)