栞/小原あき
 
りと開いた
秋の空が
もう少し待ってくれと
言っているような気がしてならないのです



ぱたん、と閉じた本を
また、開いてみれば
そこに栞はいます
そして、この秋を思い出します



真っ赤に燃えるような小さな手に
やわらかな温もりを感じるのは
少しだけ今日が
暖かな日だからでしょうか



遠くのほうで
子供のはしゃぐ声が聞こえます

それがいつか
あなたの
わたしの幼い頃と
そっくりなものが聞こえるようになったら

また、本を開いて
この秋を思い出し
栞に
ありがとうを言いたい







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