嘘からの解放/池中茉莉花
いつのころからか
こころとからだが辛いとき
いろんな病気の真似をするように
なっていた
呼吸が苦しいふりをした
通路でばったり倒れたまま、意識を失ったふりをした
突然、足が動かないふりをした
一度、それが信用されてしまうと
とことんまで
やらなければならなくなって
二度、三度と繰り返す
塗り固めていった
嘘の塊が
重く 重く なっていって
とうとう
自分自身を潰してしまった
ぺちゃんこになって
はじめて
小さな声で
嘘でした、とつぶやいた
なんにも責めずに
ただ にこにこと
笑ってくれた 先生の目が
こころにくっ
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