夜と夜/太郎冠者
ガタピシのワゴン車でぶっ飛ばす
モップの台車にバケツたちへ
さっきからずっと唸っている
スピーカーから流れてくる
ぼやけたこうだくみの声は
もう一生分聞いた
螺旋状の道を青白い光りが
僕たちの顔を悪くするよ
隣のお兄さんは
もう三年間も白い顔をして
いつ終わるともしれない夜に
激しい舌打ちをかまして
僕たちは深夜の回転寿司をきれいにするんだってさ
酢の匂いだけを残している店内は
太った埃たちがいるだけだし
剥き出しのベルトコンベアは
とても静か
(あす来ない)
ガタピシのワゴン車でぶっ飛ばす
お兄さんのもとから
太陽が去って
モップは台車をバケツたちです
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