浮世に月あり/
ソラノツバキ
夜中にはもう風が去っていたから
僕は喉が渇いて家を出た
今日は記念日だったけど
みんな忘れているみたい
水が滴る緑と
君が触れた傷跡を
月がまぶしく照らして
僕に思い出をくれた
しばらくしたら消えてしまう 淑やかな夜の中で
どうしようもないことばかり
決めていかなくちゃならない
手にしたリキュールはそのまま
じっと星をみつめ
ある浮世の ある秋の夜に
僕は確かにいた
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