風の眸/草野大悟
 
な〜んにも
かざるものをもたずに
うまれたままでわらっている。
眸がわらっている。

ふれれば
こわれそうなひかりが
とことことことこあるいている。
眸があるいている。

ちいさくて
はかなくて
あやうげで
きまぐれに
眸が風のように
わらっている。

風が眸のように
わらっている。

とおくで
そらが
めをほそめて
しあわせしている。

しらないうちにぼくらも
めをほそめて
しあわせしている。

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