秋の風景〜猫/tomtom_poem
日が真上から射すころ、そいつは塀の上にいた
眠そうな眼をしていた
日が斜めから射すころ、そいつは道路の真ん中で
後ろむきに佇んでいた
日が沈み空が真っ赤に染まるころ、そいつは仲間とじゃれあっていた
模様も色もまったく対照的な彼または彼女と
私はいつも近づいてゆき
挨拶するのだ
そして、小さなカメラを向ける
そいつの初期行動は瞳をすえて、ねめ回すことだった
私もねめ回す、なるべくきゃつの眼のなかに入りこもうと
きゃつは警戒心と好奇心とにあおられて
おもむろに立ち上がり、虎に変身するのだった
私は朝青龍のように突進し
かれは大麒麟のごとく突っぱってくる
そのとき日の光は月にさえぎられ
状況も炸裂する
気がつくと私は
一人っきりで新しい路地を
歩いているのだった
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