夕焼け迷子/さくらほ
初夏〜秋
初夏よりも光る男が耳に触れそっと私のピアスで遊ぶ
瑞々し背中に並ぶ脊椎を一つ一つ数えて眠る
マスカラをしない瞳が好きだというそれは誰の瞳の話?
背中から愛されるその重み愛し朱に染まりて息づく体
金木犀香りを頼りに君と旅 行く先はないそれもまた良し
迷宮を行きつ戻りつするごとくうなじをなぞる君のくちびる
巻き髪を絡ませ遊ぶ君の指妖し動きに酔い深くなり
その胸にくちびる這わせ甘く噛む季節に反し熱帯びる君
大人の顔子供の顔と使い分け自由に旅する君は罪人
切れ長の冷たい炎に焦がされて心も体も焼き尽くされ
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