この街のすべて/瓜田タカヤ
午後の
真昼の
中古車センターで犬笛が目眩く
それは悲鳴であった
困窮に喘ぐが
週刊ジャンプを思い出して
1秒で忘れた
サラ金で何かを借り
女と待ち合わせをした
それは自由な挙動を待ち合わせていると
何かから解放されていると思っていたが
話す事はパチンコ屋と
「チンポデッカグスル器具買ワサレデヤ」
という話が全体の8割だった
確か
皮膚の空域が
空間の全体で
この世のすべて
その色はフォルクスワーゲンのスカイブルーであった
昔
近所の大学生が乗っていた車だった
彼のアパートへ遊びに行くと
彼は彼女と裸で寝ていた
大量の埃が光り
女の匂いがしていた
夜の盛り場
建物の沿いに闇を見つけ
午後の
真昼の
スカイブルー
君と眠る妄想を思いこんで
チープに笑った
パチンコ屋サラ金オール電化週刊ジャンプ郷愁中古車女の匂い
ロードショー濡れた飼い犬の毛の匂い皮膚ネブタ大型ショッピングセンター
それで
この街の
すべて
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