秋雨/白昼夢
 
遠くの空からやってきたものが
通り過ぎていったから
私の体は水を含んでしまった
かさを閉じて空をみあげる
灰色のくもが笑いながらうたっている

ついてくる雨音が聞こえる
歩いても歩いても
そこには灰色のくも
私はかさをひらいた
少しだけ、濡れなくなった

小さな滝と川ができていた
誰も住んでいない川に
誰も昇れない滝
消えてしまう短い流れに
私は足を踏み入れる

裾の色が変わる頃
外は白いしずくの騒音がこだましていた
水を含んだ私は消えていく
どこからともなく声が聞こえる
外を見ると、まだそこには灰色のくも
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