よく判らないけどうまくない気分と幸か不幸かはたぶん関係がない/ホロウ・シカエルボク
 



長いことほったらかしていた
自転車のハンドルとサドルを拭いて
空っぽのタイヤに空気入れ
寒くなりはじめた街に
長袖でくり出す

鮮やかな白と紺が
入り混じる通学路
生徒達は各々に
夏と冬のあいだを遊んでる
そんな風に泳げる時間を
どこかで信じていてください

古い商店街の手前で
小さな図書館の置き場を借りて
そこからは歩いた
気の早い果物屋の
歳末セールの準備
ミック・ジャガーのベストと
おしりかじり虫が並んでるCDショップ
文房具屋では
いつのものか判らない色褪せた月野うさぎの小さな旗
誰かの無垢がその裏で化石になる
公衆電話から思い出の
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