『ままごと』/
東雲 李葉
で穴が、開いてしまったようで。
そこから覗く灰色が微笑んでる。やめて、こっちを見ないで。
誰かノイズを鳴らして。不吉な羽音だけじゃ心細いわ。
気付いて、あたしずっと独りぼっちなの。
お隣に誰も居ないシングル・ベッドで。
小さな声の応えはいつまで待っても返らない。
今宵も昼夜の温度差に震えながら仮初めの食卓で独りおままごと。
やけに明るいリビングでプラスチックのお箸とお茶碗だけが鈍く光っている。
名前も呼んでもらえない娘役があたしなの。
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