『ままごと』/東雲 李葉
パパ、ママ、あたし、弟。どこにでもありそうな構成。
それぞれの役割を演じながら赤い繋がりを営む。
大人の真似をしたがる友達の中で、あたしだけが、そのまま子供でいたがった。
好き放題に我儘言ってあたししかいないみたいなシートの中が心地よかった。
パパがお仕事の間は弟しか見ないママを見ているしかなかった。
知ってた?あたしずっと独りぼっちなの。
お昼間の小さいママはあたしも見てくれるけど。
夕焼けチャイムがいつも怖かった。
行かないで。パパとママ。夜も傍にいて。
烏が螺旋を描いて飛んでゆく真夜中。
黒猫の長い影は街のネオンにさらわれる。
金色の月の光。浮かぶ空にはまるで穴
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