黄色い花/ふるる
 
冷たい井戸の水を汲んだら
とたんに雨が降ってきた
開け放した口に次々と
重たい雨粒が入ったり砕けたりした

久しぶりに自由に飲める水だけど
濡れて帰ればまたぶたれる
痣は青い花のように
あちこちに咲いていて
濡れて鮮やかになる

とうさんはわたしの髪をつかんで引きずり回す
にいさんはわたしの服を破く
おとうとはわたしの食べ物をうばう

お腹がすきすぎると
身体が浮くようなかんじがする
食べ物を
探す指はいつもこくうを掴む

かあさんは庭でいもうとたちに混じって
遊んでいる
そこに女の子たちが次々と加わる
レースのリボンや
赤い靴を履いて

おいで
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