乳房/
蒼木りん
たそがれ
ふと
私の乳房は
女を想い出す
それまで
身体についる付属品で
誰に触れさせることもない
今夜
あなたの愛した
この乳房を
洗っていると
雫の落ちる
音のみで
かつて
乳汁が切ないほど
滴り落ちた
乳房のさき
かたく
やはり切なくて
何故に
愛しむあなたの
しぐさまねて
触れれば
桃色に染まり
熱る
私の乳房
戻る
編
削
Point
(2)