乳房/蒼木りん
 
たそがれ

ふと

私の乳房は

女を想い出す

それまで

身体についる付属品で

誰に触れさせることもない

今夜

あなたの愛した

この乳房を

洗っていると

雫の落ちる

音のみで

かつて

乳汁が切ないほど

滴り落ちた

乳房のさき

かたく

やはり切なくて

何故に

愛しむあなたの

しぐさまねて

触れれば

桃色に染まり

熱る

私の乳房





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