rThuL'A/10010
 
猫の発語器官は発情期間よりも長く
そして低く尾を引く
ルトゥラ まだ私語(ささや)いてる
名前を逆立てて
毛並みを呼ぶ君の
体内は群れを為し
ねむりのポーズで音に鳴る
ルトゥラ 
夢の時間は逆さまで
ひとつきりの胎内へと
渦をたどれば君はぼく、ぼくは君
と話すかもしれない
黙るかもしれない
歌を唄おう
それなら
ルトゥラ
猫の発情期間は発語器官よりも短く
声と骨だけが残っていく
時の尾の稜線を
ぼくのほうに辿っても
君のほうに辿っても
腐敗は反対語を持たないで
その真っ直ぐな瞳みたいに
進行するばかりで
歌を唄おう
ルトゥラ まだ私語(ささや)いてる
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