きっと鈍痛のほうがより涙を流せる/ホロウ・シカエルボク
 



おもてむき静かな
地下の濁流のような衝動
ガラス窓に映った顔だけがほくそ笑む
いつか
ナイフで蜂を殺したときの壁のいくつかの穴に
あのこを切り刻んで少しずつ詰め込む幻覚を見た
ひとりで熟成させるには向かない感情だったんだ
驚くほどしんとした夜半
身体とうらはらに心情は眼をひん剥いて
今夜ごたまぜのカオスの死骸の
頂でどんなダンスを踊るのか思案していた
出来ればそれとなく
傷みと感じてくれるダンスがいい
出来ればそれとなく
哀しみと感じてくれるダンスがいい
言葉を音声化するための機能が欠損しているから
出来ればそれとなく受け止めてくれる感覚がありがたい

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