青の王国/日向夕美
が いっとう
こうふくな
ばしょ
現像液にひたしたような君が
ゆうらと海に写った
ファンをまわして
ごうごうとした反響に
定着するのを待つ
水面を四角くすくいあげて
ふところに仕舞うことが
正しかったのか、は、わからない
待ちくたびれの、戯れ
忘れてしまうことに酷くおびえていた
許して呉れますか
ことばは何も残せずにいる
海の縁に腰かけていた
コンクリートに踵を擦り付けて
鈍群青の外気と海を混ぜ合わせる
中埠頭は青く在り
ごうごうと鳴るごとに
海鳥の旋回を強くする
潮音、拡やか
幸福の海
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