[18歳]/東雲 李葉
頃まで。
不意に肩を抱かれると情けなくも涙が滲む。
「もういいよ」と言われた様で余計に前へ進みたくなる。
希望は無い。だが、まだ本当の絶望を知らない。
可能性はもう生まれない。だから、今あるもので生きていかねば。
もうすぐ好き勝手ばかり言えなくなる。僕はもうすぐ大人になる。
僕は「僕」と名乗れなくなる。蕾が開いて女になる。
僕はもうすぐ大人になる。作られた未来に従わなくてはいけなくなる。
もうすぐ、もう時間が無い。
茎が伸びる。蕾は色付く。陽射しは眩しく時を促す。
花弁が開けば僕は、僕は、
僕は誰になるのだろう…?
戻る 編 削 Point(1)