明け方の記憶/哲子
 
「明日、笑おう」
と、
夜の向こうで待つ朝に
投げかける
一握りのこ、え、

ピアノの音色はどこまでも
地平線のむこうの
あなたをすり抜けて
そのむこうに在る
小さなお墓の前で、果実になった

果実転がって
海渡って空飛んで
果物屋の店先、
手にした瞬間はじけた!はじけた!


「明日笑うの」


夜の向こうの朝が目覚めたら
大声で笑い飛ばしてやろう

「あんたの母ちゃんでーべそ!」
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