その(名前)を、呼ぶ/
山中 烏流
に
探している
指差した先に
必ずしも、私は
息づいていない
いない、から
触れようとした手の
外に溢れるように
世界が揺れていることを
少女の瞳だけは
少なからず、理解している
瞬きとは別の
振動で揺らぐまつげに
答えをしまいこんだまま
胸元の手を
ほどくことは、しない
私が触れた少女の
祈りは、あまりにも
あまりにも、
小さく呟いた私の名を
一体、誰が
決めたのだろうか。
戻る
編
削
Point
(3)