その(名前)を、呼ぶ/山中 烏流
 

 
探している
 
 
指差した先に
必ずしも、私は
 
息づいていない
いない、から
 
 
触れようとした手の
外に溢れるように
世界が揺れていることを
少女の瞳だけは
少なからず、理解している
 
瞬きとは別の
振動で揺らぐまつげに
答えをしまいこんだまま
胸元の手を
ほどくことは、しない
 
私が触れた少女の
祈りは、あまりにも
あまりにも、
 
 
小さく呟いた私の名を
 
一体、誰が
決めたのだろうか。
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