窓から人工衛星が見えて/アハウ
午後の陽射しを受けている
窓が開いて
レースのカーテンが揺れて
ガラスは 遠い空を 白い雲を
水平にたたえ 映した
時おり
子供達の歓声は
静寂を乱し
小石は投げられて
うすい影のように通り過ぎた
部屋はノートパソコンが片隅に置かれ
書架は開いていた
窓が開く
家人が出入りしている
思い立ったように
本が引き出され
ページが読まれていく
そのたびに意味の花は開く
テーブルに置かれたノートに
メモ書きがなされる
窓、ガラス、雲、意味、石、自由落下
無造作に散らばる書物
エマソン 高村光太郎 ニーチェ
グラスのアイスコーヒーが飲み干され
パソコンのキーを叩く音が
静寂に染み込み始めると
子供達は 石を 打ち上げ
人工衛星の軌道に入れる
そして 私の言葉は
瞬く間に 飛翔を楽しむ
夢見る人々は
何とは無く 空を見上げて
君の瞳に 白い雲が映えて
今 言葉は人工衛星
永遠の自由落下に入った
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