きみ/草野春心
 
れ自体の働きなのか、
 それとも意味との相乗効果か
 ということがどうでもよくなるほど
 愛すべき奥ゆきと耳当たりで胸を叩くのだ
 こい というより液体的で
 あい よりも綺麗で太い弧を描く そんな響きだ
 この国に「一行詩」なるものがあるなら
 君 とそう書いて終わりでよいとさえ思っている
 タイトルはなんでもいい
 この世のものじゃないような
 美しい大きい樹の下で
 君が〈ねぇ〉と僕を呼ぶなら
 僕は……けれど何も言わずに
 君にくちづけをすると思う


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