錬金術/アハウ
天を突き通す パルス
尖塔を仰ぎ見て
コートの襟を立てて
足早に通り過ぎて
石畳を睨みつけ
落ち葉のささやきを
スケッチしたなら
帰るべき部屋で
レトルトは加熱され
言葉は錬金術
鉛 水銀 赤い沈殿
重み 結晶
朝の陽射しを受け切って
神々しい霊気はおりて
三っ目の目と三っ目の耳
錬金術は進んだのか
停滞しているのか
日々 言葉を試している
言葉の固有 所有 感情 意味
醸し出された 雰囲気
この小高い丘の部屋から見える都市は
ちょうど ゴシックの尖塔の傾斜をもっていて
黒光りする尖塔群が林立する
ハリネズミのゆったりと動く
背のようだ
戻る 編 削 Point(2)