猫の脱却 そのことどもに/mizu K
 
とつの、方法、そのすがた
まるで猫が逆立ちしたように
この世に生まれる子どもたち

いくら
かなしんだって
せかいは
なにもかわらない
ねこが
ぞうが
ひとが
しまうまが
しんでいく

ねえねえ あたし たのしいんだよ
すっごくたのしいんだ
だってせかいはゆうえんちなんだよ
どこまでいってもあそべるんだ
おっきいおっきいゆうえんちなんだよ
すごいねえすごいねえ

どこまでもつづく地平線がゆらゆら揺れて
存在の証明に困ってカモシカが走っている
ひとあしひとあし、あしあとひとつ、そのすがた
そのうしろすがた、
影がずっとずっとのびている地平線
もとめた、日常のかなしみの根もと
飽くなきおそれ、また、ひとつ、ふたつ

みっつ、よっつ、いま、いつつめの日常
不確かな猫の脱却 そのことどもに
子どもが泣いて生まれる
かなしいのだと
いちどきに、ほがらかな日を浴びて
からからと風車がまわる
まわるまわるめぐるめぐる日常の
不確かさを再認識せよと、来る




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