★87 アイスコーヒー/貴水 水海
 
もう行っていいよ

僕はもう少しここで涼んで行くよ

君が悲しくて眠れない夜

僕がずっと抱きしめていた

僕が不安で心細い夜

君がずっと抱きしめてくれた

君と僕のかけがえのない思い出が

目の前のアイスコーヒーの氷みたいに

どんどんとけてなくなる

君が僕のためについた嘘は

哀しい嘘だった

僕は嘘だと分かっても

君に何もきかなかった

目の前のアイスコーヒーみたいに

いつかは嘘も薄まると思っていたよ

本当は

まだまだ一緒にいたいけれど

もう行っていいよ

僕はもうちょっと時間がたたないと

立ち上がれない
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