残滓/さいらと
 

32時に電報が届く
引き摺った着物の裾を
捕まえようとする猫がいる


幾らかのカットインを経て
緩やかに溶暗している背骨
花柄のシーツは血に汚れ
さよならの挨拶は砂に埋もれ


眩しかったと記録が騙り
涙をさりげなく流しては
触れてしまう前の準備に
洗濯を済ませなければ、



「ここは袋小路です
あなたが自身の裾の染みに気付かない限り」



何処へも通じない響き(ph)
微かな雨の気配を連れて
残滓


形を切り取ろうとする
ひとつの病理的な、




(文字数によって料金は変化します。
 定形文が用意されていますので、
 そちらをお使いください。)










目を覚まして
安堵する偶然の交叉
右耳の蝸牛の奥に響いて
おりをのこす
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