螢のように、そして/たりぽん(大理 奔)
 
両手で水をすくうように
反射鏡は映し出すけれど
のぞき込むたびに奥歯で噛む
這いつくばって
いいわけ、うつむき加減に

   明るい星空の下に
   私の居場所はないのです

車窓に流れるネオンも
街灯の連れ戻す
まばらな真昼も
影をあらわにするから

   暗闇はどこにありますか

あの遠い場所は
星図の上で身勝手な座標と
意味不明な記号で飾られ
蒔絵に書かれた
万華鏡の設計図でしょう

   あるいはどんな場所の名でもなく

あなたの笑顔を探すのは
どしゃ降りの中で明日の青空を
待つ事ではないのです
この目に映る全ての明滅から
探すことでもないのです

   全ての距離に届かない
   歩道の隅で水溜まりを踏みながら
   手の中で我が身を焦がす
   生き物ではない
   このホタル


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