どんぐり/yo-yo
ひとつふたつと
どんぐりの実を数えながら
息子は
年の数をおぼえた
ぼく みっつ
小さな指で
小さな生き物のような木の実をつまんで
みっつの命をならべていたが
あっというまに
ひとの年は二十をこえ
三十もとびこえてしまう
やっと自慢できることは
自分の包丁を持っていることだと言う
深夜にしずかに砥石に向かう
たぶん手は傷だらけ
ひとさし指と親指で
どんぐりによく似た果実をつまんでは
そっと包丁を当てる
息子だけの
そんな国がどこかにあるらしい
ときには
ひとつふたつ
みっつ
と
ポケットいっぱいの秋を
数えきれない
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