地図/
服部聖一
地図の上で抱き合った
そうすれば、どこへでも行けると思ったから
どこへでも行ける手軽さは
どこにもいない悲しさで
そうして、
ことばにできず
ただ抱き合った
飲みかけのペプシコーラ
のような
夏の終わり
遠い昔のことのようだ
思うことも
語ることも
すでに無くした
磁針のように指し示すその先は、
いつもあなただ
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