崩れかけた熱情/狩心
 
着飾った女が、艶めかしい足で
ズタボロの男を、誘拐した
私の中身になってと言って
二人はひとつになった/
―― それと同じ時代、同じ場所で
中身が溢れるほどの女と男が
激しい海にふたり彷徨ったが
ついに1つには成れなかった ――

ふたつのものが1つになるには
空白が、必要だった
わたしは二つの物語を教訓に
自らの中身を | 少しずつ消していった

中身が溢れていた場所に
 適度に空白ができた
その二つの世界では
 常に戦いが行われており
それが均衡を保った

青い地球の大気の中に
人々は生きていて
海の中に記憶を/落としていった

大気汚染が進み/
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