新しいいのち/池中茉莉花
産まれて来なきゃ よかったと
なんども なんども
いのちを呪った
だれかの死刑のニュースが流れるたびに
うらやましいと思う日々
だけどいま
子どもを産みたい
子どもを産みたい
自分のいのちを否定してきた
このわたしが
遠い日
畑に積もった雪の上
ちっちゃなわたしは ねころんだ
空の白さと
お陽さまの淡いひかりのなかで
あたたかな雪に包まれた
わたしは
たしかに
幸せだった
そおっと 立つと
からだの型が ひとつ
あるときは
歯医者さんの椅子
あるときは
耳鼻科の診察台
あるときは・・・
あの感触を
思いだしたら
もう死にたいなんて
思えない
ちっちゃないのちを
雪にうずめて
あのぬくもりを
感じさせたい
だから お母さんに
なりたいのです
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