Days in the canvas/atsuchan69
――外国産と思しき、
ずいぶんと安っぽっちい杉板の木枠に
金槌で小ちゃな無数の鋲を打ち込み、
皺なく「ぴぃーん」と
白い亜麻布を張った
自分で拵えた七百号の白いキャンバスへ
左官が使うみたいな
巨大なペインティングナイフで
わざと無配色の汚しを塗りたくるるるるる
直行直帰。時差出勤だらけの
朝から晩までオール出鱈目な日々よ
ヘイ、なんて素晴らしいんだろう!
超高速回転しつづける
斯くも遽しいビジネスマンの孤独。
箕面の新築の家にだって
カレコレ三日も帰っていない
その挙句、妻も子供も
私のことを知らないオジサンという
精緻な絵の中の時間が
七十
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