藍色の空/Souko
単線の始発に乗り、
誰もいない車両に一人きり
私はそっと小さな町に背を向けた。
振り切った家族の手とか
待っている恋人の顔とか
浮かんでは消えていく。
やっと始まっていくのだと
未来に震えていた。
やけにゆれる小さい列車は、
朝の冷たい空気の中
私だけを連れて
東京へつながっている。
ホットコーヒーで温まりながら
藍色の空が輝き始めるのを見ていた。
そして空はゆっくり薄まっていく。
顔がオレンジ色に染められて、
身体に光が満ちたとき
なんでだか泣いた。
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