レコードの針はとまり、/
カンチェルスキス
外から
窓を叩いている
さむかぜが吹いている
部屋のなかで
ふくらんだふうせんが
飛んでいる
鍵はかかっている
入れる扉もない
窓を叩き割ることも
思いつかなかった
ふうせんは
何色にも見えない
どんな形にも見えない
どんな気分でいるのかも
わからない
誰がふくらましたのかも
そんなことには
関心しないふうだった
ランチのサンドイッチが
焼きあがる頃
天井のふうせんが
しぼんで落ちた
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