暗がりに放置された光/カンチェルスキス
 
いおれたちは、
表面に浮いたコンビニ袋にしがみついて、
何とか生き延びていられるから、
詰め将棋に負けたときの気分のように
餃子の王将の餃子食って安っぽいげっぷを連発したりして。
見れば、踏んずけられたトマトが地面でつぶれて笑ってる、君かい?
長靴の先でくるくるまわってたエイリアンが、癌にかかって、それで
生き延びている、垂れ下がった葡萄がひと粒ひと粒落ちていく、おのずからそうなってることがこわいよ、ボタンを押して選曲を決められた、今ここで流れてる音楽は、おれの関与を認めないまま、エンディングを迎える、おれは暗がりに放置された光みたいなツラして、ケツをかき、タバコを吸う、歩いて、歩きまくって、何も見つからない、ただ方角を失うことだけができる、体重を失うことができる、
メッツの缶が風でころがって電信柱にぶつかる、そんな軽い衝撃音だけが、おれの中で響いて、やっと抗える
電子レンジの中で豚肉が解凍され終わるあいだまでの時間。





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