孤独の滴る夜/智鶴
 
ら忘れてしまわない内に)


第三章、午後

街中回っても何も買えず
仕方がないので家に帰った
もう三時を回ってしまっていた
蛇口から水を飲んだ
コップがないので蛇口から直接飲む
一口飲んで
二口飲んで
三口目を飲もうとして
もう水は出なかった
壊れてしまったのだろうか
水道局に電話しようとして
気付いた
(電話は何も音はしない)


最終章、矛盾の滴る夜

テレビもラジオもやっていない
本を読むだけ読んで
歌を歌いたいだけ歌うと
いつの間にか夜だ
外に出て
白い息を吐く
時計が無いので分からないが
もうすぐ夜明け
白い息を吐いて
冷たい空気を肺いっぱいに吸い込む
誰にも邪魔されない
僕はいつもは早く寝てしまうのだけれど
たまには一人も悪くない、なんて
生意気なことを考える
そして
こんなとき
いつも隣にいてくれたはずの君の肩に手を回そうとして

あぁ

もう
何も気付かないふりをしよう

朝が来るまでは


(夜明けは何処か遠くからやって来て)
(いつの間にか遠くに消えてしまう、いつも)
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